新製品開発のフレームワークを新規事業に応用~そもそもQFDとは?~

 addlight journal 編集部

前回は、予算実績比較によるプロジェクトマネジメントについて11のポイントを挙げながら説明しました。今回は、我々が大企業向けのコンサルティング案件に取り入れている品質機能展開を活用した事業開発プロジェクトの概要についてご紹介したいと思います。

品質機能展開(QFD)とは

まずはじめに、新製品の内容を決定・改善する上で活用できる、品質機能展開というフレームワークをご紹介させて頂きます。

品質機能展開は英語ではQuality Function Deployment(QFD)とも呼ばれ、1960年代より赤尾洋二、水野滋の両氏が開発した新製品開発のための手法です。新製品等の開発にあたり、顧客の要求する品質(要求品質)を基に設計品質を決定し、これを実現するためその構成機能・部品の品質(機能)を細部部品や工程にまで体系的に図式化して展開し、新製品の開発を行っていきます。

こちらの図にあるとおり、横の行にはマーケットインの発想で「要求品質」を、縦の列にはプロダクトアウトの発想で「機能」をそれぞれマトリクスにし、その交差点での各ポイントに着目していくことによって、両視点をミックスした事業開発を行うことができます。経営学者のピーター・ドラッカーによると、ビジネスはマーケティングとイノベーションのふたつの機能しかないとのことですが、この手法によると両方の視点でのインプリケーションを得ることができます。

品質機能展開のフレームワーク

ここからは品質機能展開のフレームワークについて説明していきます。品質機能展開の発案者の一人である赤尾洋二氏の著書『商品開発のための品質機能展開』にある大型船外機の例を参考に整理させて頂きます。
まず、品質機能展開はマーケットインの発想に基づき顧客ニーズを要求品質として整理するところから始めます。これは、顕在的ニーズ(課題)及び潜在的ニーズ(課題)含め、網羅的に洗い出し整理する必要があります。その要求品質は、大項目→中項目→小項目というように体系的に整理されブレイクダウンされた項目になっています。

次に、製品のもつ特性である機能すなわち品質評価の尺度についても、大項目→中項目→小項目というように体系的に整理され網羅的な洗い出しを行います。

そして、要求品質である顧客ニーズを横軸、製品の機能を縦軸にひとつの品質機能展開表として統合することによって、両者の関係を明らかにし、顧客ニーズに適合した設計品質を担保する機能をもった新製品を開発することができます。

新規事業プロジェクトにおける品質機能展開の応用方法

さて、ここまで品質機能展開のフレームワークと考え方について説明させて頂きましたが最後に、実際に我々が大企業の事業開発コンサルティングを行う際の手法をご紹介させて頂きます。基本的には品質機能展開のフレームワークを軸に、ものづくり以外のサービス業や新規事業にも応用できるよう、我々でアレンジを加えたものになります。

新規事業プロジェクトで品質機能展開を活用する場合には、顧客ニーズである要求品質に重み付けを行い定量化したうえで、マーケットインからの発想で顧客ニーズをプロダクトアウトの観点で各機能に展開します。そして顧客ニーズの重要度及びそのニーズに対応する機能の現状を勘案し優先順位を踏まえた上で今後のサービスの機能開発・強化を行うことになります。では、具体的にはどのように進めればよいのでしょうか?

次回は、新規事業プロジェクトにおける品質機能展開の10のプロセスについてお伝えさせて頂きます。